「特定健診から腹囲2cm・体重2kg減」という目標、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。第4期特定保健指導では、この目標が主要達成目標として位置づけられています。しかし、この数値だけで特定保健指導の真の成果を測るのは、少し難しいかもしれません。
株式会社インサイツが特定保健指導“成果の見える化”コンソーシアムの活動を通じて行った分析により、健診時の数値だけでは見えない、大切な「介入成果」の側面が明らかになりました。

主要達成目標と「介入の成果」の間にあるギャップ
特定保健指導の目標達成には、特定健診時からの腹囲・体重変化が基準となります。しかし、実際に指導による行動変容や身体の変化を評価する際には、初回面接以降の変化に注目するのが一般的です。
今回の分析では、特定健診時からの変化と、初回面接時からの変化(これが「介入成果」と捉えられます)が、必ずしも一致しないケースが多く見られることが確認されました。このことから、主要達成目標の達成状況だけをもって、特定保健指導による介入成果を評価することには、一定の限界があると言えるでしょう。
初回面接までの期間が腹囲・体重に与える影響
分析に用いられたデータ(N=510)によると、特定健診受診日から初回面接実施日までの平均日数は202日(約6~7か月)でした。この長い期間に、初回面接時点の腹囲・体重が特定健診時の数値から変動しているケースが少なくないことが明らかになっています。実際、特定健診時と初回面接時の体重を比較すると、平均で+0.4kg増加している傾向が認められました。
この結果は、特定健診から初回面接までの期間が、その後の成果評価に大きく影響を与える可能性を示唆しています。
初回面接時の状態が評価結果を左右する
分析により、初回面接時点での腹囲・体重の状態が、その後の成果評価に大きな影響を与えている実態が明らかになりました。
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初回面接時に腹囲・体重が増加していた対象者:主要達成目標の達成は難しい傾向が見られるものの、特定保健指導による介入後には体重減少などの改善が多く認められました。
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初回面接時にすでに腹囲・体重が減少していた対象者:主要達成目標を達成しやすい傾向がありますが、介入による追加的な改善が必ずしも十分に認められないケースも存在することが分かりました。

“成果の見える化”に向けた評価の考え方
今回の分析を通じて、特定保健指導事業の成果をより適切に評価するためには、以下の2つの指標を異なる性質のものとして整理し、併せて確認することが重要であることが示されました。
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特定健診時からの腹囲・体重変化(主要達成目標)
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初回面接時からの腹囲・体重変化(介入成果)
この2つの視点を持つことで、より多角的に特定保健指導の真の価値と効果を「見える化」できることでしょう。
株式会社インサイツの今後の取り組み
株式会社インサイツは、特定保健指導“成果の見える化”コンソーシアムの活動を通じて、今後も特定保健指導の成果を多面的に「見える化」するための検討を進め、保険者や関係機関にとって有用な知見の発信を行っていくとのことです。
特定保健指導の成果をより正確に評価し、今後の健康増進活動に活かしていくための、大切な一歩と言えるでしょう。
会社概要
会社名:株式会社インサイツ
代表者:代表取締役 石川陽介
所在地:東京都中央区日本橋浜町1-3-12 第7センタープラザ2階
プライバシーマーク登録番号:14500026(07)
特定保健指導機関コード:1321900076
事業内容:
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健康保険組合加入者向け健康増進サービス
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健康情報の分析・評価・ナビゲーション
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ヘルスケアコンサルティング
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ヘルスケアICTサービス
URL:https://insights.jp/

