昨今、市街地でのクマの出没が報じられる中、実際に山を歩く登山者の皆さんは、クマや野生動物に対してどのような意識を持っているのでしょうか。アウトドア事業を展開するヤマップが全国の登山者を対象に実施した「クマに関する登山者意識調査」から、野生動物への「畏敬の念」と「現実的な共存」を模索する、成熟した登山者の姿が見えてきました。
92.8%が「クマの生息域にお邪魔している意識を持つべき」
調査の結果、実に92.8%の登山者が、山はクマの生息域であり、登山者は「お邪魔している意識を持つべき」だと回答しました。特に、山との関わりが深く、登山歴が長い方や、北海道・東北地方で活動する方ほど、この意識を強く持っていることが示されています。野生生物が身近な存在であるほど、その存在に対する深い敬意が育まれていることがうかがえます。

ある登山者からは、「本来の山は自然界であり、そこに人間が登山道を付けてお邪魔させてもらっている感覚は常に忘れないようにしている」という声も寄せられています。

野生生物との遭遇は珍しくない、対策は「両方必要」が最多
登山中にクマを目撃した経験がある方は約3割(29.4%)でしたが、サルやイノシシといったクマ以外の野生動物との遭遇経験者は93.2%に達しています。山では野生動物が「いて当然」という認識が広がっているようです。

また、クマ対策については、「人間の安全確保(駆除等)」と「共存のための環境保全」の両方が必要だと考える層が43.1%と最も多く、現実的な視点から「両輪での対策」を求める声が多数を占めています。

「山は野生動物の領域なので、人はその存在を尊重すべきだ。しかし現在は、クマの数が増えすぎて、人の生活圏に侵入している。人命を優先するなら、侵入するクマを駆除すべきだ。」といった具体的な意見も寄せられています。
地域で異なる影響と広がる「会わない工夫」
クマの話題が登山頻度に与える影響には地域差が見られ、「九州・沖縄」では93.7%が登山頻度が「変わらない」と回答したのに対し、「北海道・東北」では「変わらない」が48.3%にとどまりました。クマの出没状況がより深刻な地域では、登山行動にも変化が生じていることがわかります。

具体的な対策としては、「撃退(スプレー等)」よりも「遭遇回避(会わない対策)」が重視されています。熊鈴・ラジオの携行(54.7%)、事前の情報収集(47.3%)、単独登山の回避(38.3%)など、接触そのものを未然に防ぐ工夫が主流となっています。

「自分の存在を知らせて『如何にして野生動物との遭遇を事前回避するか?』というのが私なりの結論です。」といった、経験に基づいた声も聞かれました。
全調査結果やグラフは、以下のリンクからご覧いただけます。
https://corporate.yamap.co.jp/news/rTiGq9ZB
ヤマップと東京農工大学が研究連携を始動
ヤマップは、東京農工大学の小池伸介教授と連携し、「クマと登山者の行動データ」を活用した研究を新たに開始しました。GPS解析を用いてツキノワグマの生活圏を可視化し、登山が彼らの生活にどのような影響を与えているかを明らかにすることで、科学的な知見に基づいたクマと人の「境界線」の引き直しを目指します。これは、登山者が安全に山を楽しみ、日本の豊かな自然を共に分かち合う未来につながる画期的な取り組みです。
年末特別企画!クマ研究者に生質問できるライブ配信
2025年12月22日(月)20時より、東京農業大学の山﨑晃司教授を招き、年末特別ライブ配信「クマ研究者に生質問!山﨑教授とあなたの『クマ観』をアップデート」がYAMAP公式YouTubeチャンネルにて開催されます。報道だけでは見えてこないクマの生態や、遭遇時の有効な対処法、心構えなど、2026年の登山シーズンをより安全に楽しむための知識を深める貴重な機会です。チャットでの質問も受け付けられる予定ですので、ぜひリアルタイムでご参加ください。
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日時: 2025年12月22日(月) 20:00〜(予定)
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配信: YAMAP公式 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@yamap_inc
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出演: 山﨑 晃司 氏(東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授 / 動物生態学・保全生態学)
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参加申込: 不要
このライブ配信は、効率化の時代に敬遠されがちな「問い」に対し、対話と身体知の機会を生み出す「Think Inプロジェクト」の一環として開催されます。人と自然、頭と体の距離を「より親しく、より近く」へ、新たな豊かさを醸成することを目指しています。

調査概要
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調査名称: クマに関する登山者意識調査
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調査対象: 全国の登山者 1415名
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調査期間: 2025年11月18日〜25日
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調査方法: インターネットを利用したアンケート調査

